■芸能通10周年コラム
(2)匿名ネット文化と芸能通クイズ

 「日本のネット掲示板文化、匿名上等じゃないスか(笑)」
 としたり顔でかます若造をオーバー35くらいが白い目で見つつ「昔はなあ」。
 たまーにそんな論争の現場を見る事があります。

 まあそんな35~45くらいの年寄りネットユーザーが、なんだかんだで匿名文化の構築に加担して、支えてきたんですけどね。
 悪いこととは思いながらも止むに止まれず、気がついたらこっちが本流になって焦っちゃったけど流れ止まらず。
 我々の世代のネットでの最近の言動には、その悔恨なんかがうっすらと見え隠れする。自分でも、そう思う。てへっ☆って感じで、匿名掲示板に興じた自分を思い起こす。申し訳ない。

 芸能通はですよ、まあ半匿名掲示板なのですが基本的に名無し投稿を受け付けていません。
 実際自分が(アマチュアだけどさ)ステージで活動したりするので、「ステージに上がる度胸っつーか、その境界線を乗り越える人じゃないとおもろいことは書き込んで来ん」とかいう信念でそうしてる…なんてもっともらしい建前じゃい、と思われたらはっきり言う。うん、半分だけは建前だ。半分はその気なのね。で、半分の本音の部分はというと。

 実は匿名可も考えよっかなあと、名無し投稿の設定を何度か試みたことがあります。
 最初は名無し投稿すると(名無しさん)と出る、くらいのやつ。
 これが、一向に改造を試みても出ない。CGIは本で読んだ程度しか分かっていないし、その当時は期間限定含めて盛況のさなかだったので、結局ほっておくことにした。

 ずっとずっと後。
 infoseekライトは、CGIに直接検索結果から飛べないという使用だったためか。実際芸能通はずっと「冬の時代」だったと思う。
 プロバイダのサーバを使っていた期間限定の繁栄はそれを現していた。
 
 せっかく名無し投稿可にするんだったら、ただ「名無しさん@お腹いっぱい」って出るのも芸がないなあ。
 ランダムで変な名前を3つ用意して、その3つがランダムで出るというのは?
 あ、そういや毎月の投稿者による「採用数レース」的なとこもあるから、最初から選べてもいいかもしれない。
 名無し投稿をしながらにして、賞レースにも加われるよね。匿名コミュ特有の「連帯感」も生まれるかもしれない。 

 ってか、「デフォルトで最初からその3つ名前が選べる」ってのがいいかなあ、とか。
 そうなると名前欄を「入力もできて、なおかつプルダウンで選べる」にしないといけないという地点まで辿り着き、結局技術力の問題で見直しとなって何ヶ月かが経ちました。

 色々技術力で諦めてることがあります。
 肖像画を選択するとき右に表示させたいとか。
 クッキーの導入とか(数回試したがうまく行かず)。
 2ページ目以降の過去問に投稿したら、1ページ目に戻ってしまう状況の改善とか。

 話を戻そう。
 そう、結局匿名に踏み切ってない理由は「技術的なアレ」、ただ一点なのです。
 この文章を書いてる最中ちょっとした力技的な解消案を考え付きましたので、ひょっとしたら導入するかもしれない。
 唯、一つだけやっぱりこれは本音として書いておきたいことがある。

 匿名こそがいまや正道、という流れには承服いたしかねる。
 名無しさんの表現活動は自分に何も残らないよ。
 そしてそれは、ある程度の自戒の念もこめて。
 何のための自戒かというとですよ、やはりそこは「匿名」のほうがデフォルトになってしまった層の人間の惨状を目の当たりにしているからだと思う。殊更自己表現のカテゴリーにおいては、本来であれば表現方法を研鑽する事が出来れば面白い表現者に成長できそうな人間が、表現したいモチベーションをネットで噴出させてあっという間に枯れていく、みたいな例もいっぱい目の当たりにしてしまった。

 少しでも、抗いたいと思う。それはとてもとても頼りない、蟷螂の斧の細腕みたいなものだけれども。